【LAS人】こんなアスカは大好きだ!13【専用】
リボン
609 名前:@ 投稿日:2007/08/21(火) 00:47:28 ID:???
「アンタにやるわ」、とアスカがシンジに渡したのは小さな紙袋。女の子向けのアクセサリーショップで買ったのか、
可愛らしいキャラクターのプリントがされたピンク色の袋だった。

「僕に?」、とシンジは思わず聞き返した。袋の外見からして、中身も自分が受け取るべきものではないと思ったのだ。
「そうよ。アタシからのプレゼントなんだからありがたく頂戴しなさい」
「う、うん」、とシンジ頷き続けて不安そうに訊ねた。
「開けていい?」
するとアスカはニヤニヤと口の端を吊り上げながら頷いた。シンジの不安は益々大きくなった。

気乗りしないシンジが袋から中身を取り出すと、シンジは思わず奇怪な声を上げた。
「うぇっえ?」
細長い紺のリボンだった。リボンの端は可愛らしく丸められて、白いレースが飾り付けられている。
「本当にこれ僕に?」、とシンジは思わず訊ねた。
「そうよ。似合いそうじゃない♪早速付けて見なさいよ」、とアスカ。
その表情を見てシンジはからかわれているのだと一瞬で悟った。

どうしよう、と迷う。ここで無下にいらないと言ってアスカの機嫌を損ねるのも平和的生活を望むシンジには受け入れ難いし、
かといって言葉巧みにつき返す話術など持ち合わせているはずもない。そもそもアスカの命令に逆らえるのか。
しかしシンジとて男だった。幾らなんでもリボンを付けろと言われてはいそうですか、と聞くのも躊躇われる。

610 名前:A 投稿日:2007/08/21(火) 00:48:28 ID:???
「これ、女の子向けじゃないか」、とシンジは言葉を選らんだつもりで言った。
「女の子だって男の子向けの服を着たりするし、リボンをする男もいるわよ」、とアスカ。
「で、でも。これはどう見ても女の子に限定されているような・・・」

煮え切らない態度のシンジにアスカが切れた。
「あーうっさいわね!アタシが心を込めて贈ったプレゼントなんだから、喜んで付けてみなさいよ!」
「だって」
アスカはさらに激昂した。シンジをからかうだけのつもりが、いつのまにか怒ってでもリボンを付けさせるつもりになっていた。
「だってじゃない!女の子にとってリボンは大切なアイテムなのよ。アタシのそれもドイツから持って来たやつなんだから!
 光栄でしょ?遥か遠くのドイツのリボンを日本から出たことがない引き篭もりのアンタが身につけられるんだから
 そもそもアタシの住んでいた地方じゃ男の子がリボンをプレゼントするのは愛の告白と同義で、この場合は逆だけど
 昔はとても神聖な行為で、断るということは二度とその人と交際しないと宣言するほどに」

延々と続くアスカの『リボンを付けろ』主張を聞いていたシンジがポツリと一言だけ言った。

「えぇ〜と、その、つまり、アスカは僕に愛の告白をしているの?」
「えっ?ええっ?あっ、え、いや、その」
あることないこと適当に言っていたアスカは、自分の言葉の意味に気付いてうろたえた。
だがシンジはアスカに立ち直らせる暇を与えない。

「じゃあアスカ」、とシンジは紺のリボンをアスカに突き出した。
「僕はこれをアスカにプレゼントします。僕と付き合ってください」
頬を真っ赤に染めたシンジを見れば、それが冗談では無いことをアスカはすぐに理解した。

しばらく黙っていた二人だったが、やがてアスカが口を開く。顔が真っ赤だった。

「・・・うん」