【LAS人】こんなアスカは大好きだ!14【専用】
そんな葛城家 服
609 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/20(土) 23:32:02 ID:???
雨がからっと止んで快晴真っ只中のお昼時。
少年の申し立てにより、この場は開廷された。

「では、被告人:惣流・アスカ・ラングレーさん、そこの席へ」
「……はい」
「それでは、始めます」

女性仕切りの元、進行される奇妙な裁判。
いやはや、裁判とは大袈裟ではあるのだが、被害者の少年からすれば深刻な問題なのである。

「それでは被害者の碇シンジ君、どうぞ」
「はい」

そうして語られる少年の深刻な問題とは如何なるものか。
要約すれば以下の通り。
家族というものは多種多彩なものを共有して生きていくものである。
時間という取り戻せないものから、家という棲家まで。
細かく言えば、冷蔵庫の中の食べ物なども含まれるであろう。
まぁ、しかし家族と言えど共有出来ない部類もあるわけである。
部屋という自分の空間は出来る限り犯すべき領域ではないし、歯ブラシなどエチケットものなどにも言えるだろう。
さて今回、その共有出来ない、というか何と言うか、どう説かしたら良いのか難しい部類が犯されたのだ。

「惣流・アスカ・ラングレーさん」
「……はい」
「僕の衣服を着られるのはちょっと困るんだけど……」

そう、少年の衣服である。
なんだそんなことか、と言われるであろうが少年にしては何度も述べるように深刻なのである。
少年にはファッションセンスなるものが備わっておらず、まだ公の場を闊歩するには恥ずかしくない衣服を少女が何時の間にか着ていたりするのである。
なけなしのセンスで選んだ数少ない衣服だけはぁー!

610 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/20(土) 23:33:14 ID:???
それが少年の言い分。
して、少女はどうしてそのような行動を取ったのか。

「アスカ、理由は?」
「乙女として黙秘を貫き通します」

これが少女の言い分。
まぁ、少女の心の言い分としては、少年の着ている服である、何となく少年の匂いを感じる衣服を着ているとやんわりと幸せがやってくる。
他の男性のならばまず間違いなくそんなことはしないのだが、それは少年のだから。
アンタ、そこんとこ解ってんでしょうね!!
ということである。

勿論こんなことが言えればそれとなく丸く収まるのだが、言えないんだから大問題に発展する。
現に今も黙秘を貫く少女に説得を続ける少年。長丁場である。
しかし非は少女の方にある、このままではどう足掻いても今後少年の衣服を着れなくなってしまう。
そこで思い付いた。

「だったら共有すれば良いのよ!」

少年はどうしてこうなったのか考えた。
いや、考えるだけ無駄なのであろう、こうなってしまったのならもはや成り行き任せ。
齢十四歳にして人生の悟りに近いものを感じながらも少年はそれを着込む。

「あー、良い良い! 似合ってるぅー!」
「シンちゃん、かっわゆーい!!」

少年の姿、クリーム色のワンピース。
もはや何も言うまいて。

「次、次! これもこれも!」

611 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/20(土) 23:34:22 ID:???
「えー、こんなの着るのぉ!?」
「良いじゃん、良いじゃん、家族のアタシ達だけなんだし!」

しかし、変な趣味があるわけではないのだが少年としてもこんな事をするのも楽しいと感じている。
もう一度だけ言う、変な趣味は一切無い。
ただ、こんな馬鹿騒ぎをするのが楽しいのだ。嘘偽り無く、そう思えるのだ。
だから少し自棄にもなっている。

「アスカちゃーん、ミサトちゃーん! どうかしらー!」

メイド服着せられてスカートの裾を両手で持ちながら颯爽と登場。
少年よ、大志を抱け。

「あっはっはっは、似合ってるぅー!」
「そうかしらー!?」
「シンちゃーん、さいこーう!」
「ありがとうですわー!!」

そんな土曜日の真昼間。


で、その日の夜。
女性は白衣の女性と約束を交わしており、今は居酒屋。

「で、で、これ見て! アスカも結局シンちゃんに言い包められて男装紛いのことしてんのよ」

ニコニコとそれはもう素晴らしいほどの笑顔で写真を見せ付ける。
あの時、女性は急いでカメラを持ち出し、シャッターを怒涛の如く押し捲っていた。

「なんだかおもしろくなってきちゃってね、ほら、私も年甲斐もなく着ちゃったわ」

612 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/20(土) 23:35:30 ID:???
白衣の女性は無言で写真を見る。
どの写真も被写体は素晴らしい笑顔。

「で、最後は三人で記念撮影!!」

とても大切な宝物を自慢するように見せ付ける女性。
色々とあったものだが、三人ともとても幸せそうである。
こんな世界も、悪く無いのだろうと白衣の女性は考えた。
だから少し嫉妬してしまうのも仕方ないのかもしれない。
しかし写真を見れば三人共多種多彩な衣装を着ているものである。
巫女服、メイド服、学生服、際どいウェイトレス衣装、etc・・・・・・。

「それにしてもアスカとシンジ君も大人になったものよねぇ」
「なーに言ってんのよ、まだまだふたりともこ・ど・も。ホントまだまだ手の掛かることこの上ないわ」

あらあら、しっかりお姉さんしちゃって。
そんな風に思いながらも白衣の女性は本日の落ちに入る。

「いいえ、もう大人よ」
「あら、リツコにしては珍しい発言ね。その理由は?」
「ふたりともある事を聞かなかったもの」
「ある事って?」
「貴方、この服どっから調達したわけ?」
「…………あ”」
「無様ね」

良くある落ちで終了。それもまた良し。
そんな葛城家。