【LAS人】こんなアスカは大好きだ!15【専用】
七夕に思いをこめて
103 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/11/23(金) 03:30:23 ID:???
七夕に思いをこめて

今年こそ素直になろう。そう決めて胸のうちに秘めた思いを短冊にしたためる。
シンジのこと、大事にしたい。
よわっちいシンジはあたしが守ってやんないとね。
まったく、手間のかかる男だこと。

「この短冊かいたの、アスカ?」

ちょっと、このバカ、何、早速みつけてるのよ、目ざといわね。

「ねぇ、短冊に書くくらい守りたいことなの?」

バカ!そんなこと直接きくぅ?恥じらいってもんはないわけ?

「ねぇ、教えてよ、『掟をまもりとおせますように』ってどんな掟?」

「…、傷つけられたプライドは10倍にして返すことよ」
速攻漢字ドリルを買うアスカさん。

104 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/11/23(金) 05:13:49 ID:???
>>103
それからおよそ1ヶ月後…。

「ねぇシンジ、ちょっと頼みがあるんだけど…」
「何?アスカ?」
「今やってる漢字ドリルの添削をしてほしいのよね…」
「え?別にいいけど」
「ダ〜ンケ。じゃあよろしくね。」

ということで始まったドリル添削。
「…あーもう、アスカ、自分の名前もロクに書けてないじゃないか…。
惣流・アスカ・ラングレー、と。」
「へー、結構頑張ってるじゃん。君主、はこう。」
「事情…、ふむ。いい感じだね。」
「好物、そういえばハンバーグ最近作ってないなぁ、明日作ろうかな…。」
「愛情…、少しは僕にも注いでほしいよ、なんてね///」
1つ1つの文字に丁寧に見本として漢字を書き込み、赤線も入れていくシンジ。
なかなかどうして、随分と丁寧な指導ではないですかw

「ん?感想?なんで僕がアスカの添削の感想なんて書かなきゃいけないんだろ…。
まあいいや、やる気もあるようだし、読みやすいように書いてあげようかw
『思っていたよりもずっと上手だね。さいしょはたいへんかも知れないけれど、
がんばって練習すればきっともっとうまくなると思うよ。
いっしょに勉強していきましょうね。』と。わざわざ僕の名前書く欄もあるんだ。(笑)
添削者、碇シンジ、と。」

シンジは知らない。アスカが彼の字を切り張りして、自作ラブレターを製作していたことを。
そしてそれを枕の下に隠して、夜な夜なにやけながら眺めていることを。


「惣流・アスカ・ラングレーさんへ
君の事が好き。愛してます。ずっといっしょにいようね。碇シンジ」

106 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/11/23(金) 11:50:29 ID:???
>>105
それからさらに数週間後…

「まったく、アスカも自分の布団くらい自分で干せよな…」
せっかくの日曜日。
ぽかぽかの陽気に布団を干すよう命じたアスカは、ヒカリと遊ぶといって外出してしまった。
内心の不満はともかく、言われたとおり布団を干しにいくあたり、飼いならされ具合が垣間見えてしまうシンジだった。
そこはかとないアスカの匂いに鼓動を高めながらも、シンジが布団を持ち上げる。
持ち上げた布団の下に置かれていた紙切れが、シンジの目にとまった。
「ごみなんか、ベッドに挟まないでよ」
その紙を捨てようとしたシンジ。
が、そこに書かれている文字に気づき、思わず叫んでいた。
「なんだよ、これ!?」

『惣流・アスカ・ラングレーさんへ
君の事が好き。愛してます。ずっといっしょにいようね。碇シンジ』

それは、どう見てもラブレターとしか思えない内容だった。
「こ、こここんなの僕、書いた覚えないぞ」
しかしそれはどう見ても、シンジ自身の筆跡にしか見えなかった。
動揺のあまり、顔が真っ赤になってしまう。
まじまじとその手紙を見てみると、その文字が切り貼りされていた。
「アスカのやつ、何考えてるんだよ…」
おそらく、いたずらのつもりだろう。
そう検討をつけたシンジが、大きくため息をついた。
改めて、紙をまじまじと見つめるシンジ。
「人の気持ちも知らないで…」
シンジが、紙を手になにやら考えこんだ。
しばらく後。シンジは紙をくしゃっと丸めてポケットに押し込むと、再びアスカの布団を抱えて部屋を出て行った。

107 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/11/23(金) 11:52:40 ID:???
その日の夕方…

「ただいまー」
夕食のできる間際になって、アスカがようやく帰宅してきた。
「おかえり」と言うシンジの声を尻目に、自室へ戻っていくアスカ。
朝、家を出たときには乱れていたベッドは、きちんとメイキングされている。
「キチンと布団、干しといてくれたみたいね」
いつものタンクトップとパンツに着替えたアスカが、ベッドを見ながら呟いた。
ふと、その手が止まる。
「…ってベッドの下!?」

どたたたた
「シンジっ!!」
「な、なんだよアスカ?」
突然の足音と怒声に、包丁を持つシンジの手がびくっと止まった。
「あああアンタ布団干すとき、その下、見たりした!?」
顔を真っ赤にして、シンジにつめよるアスカ。
「なんのことだよ?」
きょとんとした顔をするシンジ。
「何か見られて困るものでもあったの?」
「べ、べべ別になんでもないわよ!」
ワケが分からないといった表情のシンジに、アスカがきびすを返した。
「そんなことより、さっさとご飯作っちゃいなさい! アタシは部屋にいるから」
そう言い残したアスカが、自室へと戻っていった。
再び、無言で包丁を動かし始めるシンジ。
その頬がわずかに赤くなっていることを、アスカは見逃していた。

108 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/11/23(金) 11:55:13 ID:???
自室に戻ったアスカが、布団とベッドの間から紙を取り出した。
改めて、自分が作ったラブレターもどきを見つめるアスカ。
「どうやら気づかなかったみたいね…」
なんだか少しだけ残念な気もしたが。

『惣流・アスカ・ラングレーさんへ
君の事が好きです。愛してます。ずっといっしょにいようね。碇シンジ』

「こんなの見られたら、生きてけないわ…」
顔を真っ赤にしたアスカが、ぼすんとベッドに身を投げた。
「アスカー、ご飯できたよー」
リビングから、幾分間ののびたシンジの声が聞こえてきた。
「すぐ行くー」
そう言ったアスカが、手紙を元の場所に戻すと、ひとつ深呼吸をして部屋から出ていった。

アスカは気づいていない。
紙に貼られた文字が、朝より丁寧になっていることに。
その切り目が、朝と少しだけ変わっていることに。
書かれた中身が、ほんの少しだけ変わっていることに。
そのときのアスカは、気づいていなかった。


その深夜。
アスカの部屋から悲鳴。そしてけたたましい足音。スパンと襖の開く音。
「し、シシ、シンジ!これ!? これ、“です”、アンタ!!?」
動揺しまくりのアスカの声。

そしてその後、何があったのかは―――シンジとアスカ、2人だけのヒミツにしておくべきだろう。