【LAS人】こんなアスカは大好きだ!2【専用】
◆YjsWqh8B4w氏
- 199 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/09 11:29 ID:???
- 「ねーねーシンジ! ねーってば!」
“イイ事思いついた”と言わんばかりの表情で、彼女が呼んでる。
(確かさっきまで国語の宿題をしてた筈だから、分からない漢字でもあったのかな?)
そう思いながら、洗濯物を畳む手を止めて振り向く。
「ん?」
「アンタの一人称って何?」
「へ? ぼく(の一人称)?」
正直言って、いきなり妙な事を聞かれて、頭が真っ白になって素で聞き返してしまったのだけど、
アスカはそれに気付かず満足そうに、うんうん頷いている。
「そう! それよ!」
「…………それが何?」
「まーまー、慌てずに聞きなさい。で、『ボク』って、漢字でこう書くのよね?」
ノートの切れ端にアスカが自分で書いた字を見せる。国語辞典から書き写したであろうその字は、率直に言って『ボク』とは読めなかった。
「アスカ、ココに一本線が足りないよ」
「う、うるさい! 漢字の間違いとかはイイの! そんな事今は瑣末な問題なんだから!」
「はいはい、それで?」
「これって、別の読み方をすると『しもべ』って読むのよね?」
「うん、訓読みするとそうだね」
「下僕の『ボク』だもんね?」
「うん」
「ふふふ、そっかそっか。うんうん」
「?」
やけに嬉しそうなアスカの様子に、少しだけ冷や汗を背筋に感じた。また何か、無理難題を言われそうな…………
- 200 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/09 11:57 ID:???
- 「って事はつまり、アンタがアタシに対して『ボク』って一人称を使ってる以上、アンタはアタシの『しもべ』って事よね? って事で、しもべシンジ! ココ教えて!」
「宿題は自分でやらなきゃ」と言うのも馬鹿馬鹿しくなって、とりあえず教えてあげる。
(アスカは大学出で賢いハズなんだけど、日本の国語読解問題、特に古文は苦手なのだ)
ボクのヒントで何とか正解に辿り着き、お世辞にも上手とは言えない字でノートに書き込んでるアスカに、
皮肉の1つも言いたくなって声をかける。
「ねえ、一人称が『ボク』の人は、みんなアスカの『しもべ』なの? だったら今日から一人称は俺にすればいいのかな?」
アスカはノートからがばっと顔を上げて、こっちに噛み付くような視線を向けた。
「な、何よ! ダメだからねそんなの!」
「なんでさ?」
「アンタに「俺」とか似合わないし、第一アタシの下僕がいなくなっちゃうじゃん! これから国語の宿題どうすんのよ!」
「他に一人称が『ボク』の人なら、他にもたくさん居るじゃない。例えば日向さんとか」
「あ、アタシは慎ましやかな性格だから、下僕はアンタ一人で十分なの! だからアンタも、甘んじて受け入れなさい。拒否は認めません!」
- 201 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/09 12:06 ID:???
- 「無茶苦茶言ってない? アスカ」
「どっこも無茶じゃない!」
妙に必死なアスカに苦笑してしまう。
「まあ、良いけどね、結局それって今まで通りって事だし」
諦め顔でそう言ったら、なんだか露骨に安心した顔をするアスカ。ちょっと悔しいので反撃してみる。
「でも、ご主人様なのに『しもべ』に対して何にも恩賞が無いのは、どうかと思うよ? 忠義のしもべには、ご褒美の1つも有って然るべきじゃない?」
「む…………そ、それはまあ」
言われて、アスカは少し困ったように眉根を寄せる。暫らく俯いたり顎にうめぼしを作ったりして考え込んでから、
「そうね! 『虐げられた下層階級が反乱を起こす』というのは、歴史の教科書に飽きるぐらいに載ってる訳だし!
民草を飢えさせなければ、とりあえずは君主は批判されない訳だし!」
言いたい放題言いながら、アスカは僕の顔を両手で“がっし”と鷲掴みにして。
…………ちゅう…………
…………や、柔らかい…………。
「…………どう? 反乱しようなんて不埒な考えは無くなったでしょ?」
「あ、うん、まあ」
(ああ、自分は今、頬っぺた真っ赤なんだなぁ)
急激に熱くなる頬と耳の感覚を実感して、そう思う。
目の前のアスカの顔もそうだから、さほど恥ずかしさは無い。照れ臭いのは確かだけど。
アスカは“とろん”とふやけて焦点がずれた瞳を一度瞬きさせてから、もう一度唇を寄せてきた。
唇が触れ合う瞬間、視線が合って、慌てたように、「で、でも、念のため、多めに払っておくわね?」そんな至近距離からの言い訳の吐息が唇に当たる。
嬉しい苦笑が自分の顔に浮かぶのが判る。
「………………君主様、ひょっとしてこれって税き「お黙り。黙って目を瞑るの!」
とりあえず、君主様に従おう。『ボク』は彼女の『唯一のしもべ』なのだし。
- 211 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/10 19:26 ID:???
-
アスカ「ねぇねぇシンジ!」
言いながら、肩に手を置く。
シンジ「ん?」
肩越しに振り向いたシンジの頬っぺたに、アスカの立てた人差し指が“ぷに”
アスカ「あはは! 引っ掛かった〜! や〜い」
シンジ「…………(むか)」
結果:シンジの負け
翌日
シンジ「ねえ、アスカ」
言いながら、肩に手を置く。
アスカ「(ぬ? 昨日の仕返しのつもり? 甘いわよシンジ!)なーに?」
肩越しに振り向きざま、そこに立ってるシンジの人差し指を“がぶり”
シンジ「あ痛ッ!」
アスカ「ふふふ、あはひはほんはほひひははるはけはいひゃはい(ふふふ、あたしがそんなのに引っ掛かる訳無いじゃない)」
シンジ「くっ! な、ならば!」
アスカの口から指を引き抜いて、自分の口元へ。
シンジ「間接キスしてやる!」
アスカ「なっ、ナニを!?」
シンジ「ど、どうだ! 参ったかアスカ!?」
アスカ「…………(真っ赤になりつつ、上目遣いに)…………べ、別にいいけど?」
シンジ「なっ?!」
結果:やはりシンジの負け
- 252 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/16 13:44 ID:???
- 場所をコンフォート17の屋上に移して。
打ち上げやらロケットやらネズミやら17連発やら、一通り(と言っても膨大な量なんだが)こなした後。
アスカ「さーて、締めはコレ…………なのよね? 日本の花火はそういうルールだって聞いたけど」
シンジ「線香花火か……まあ、ルールと言うか。暗黙の了解だね(って、何本有るんだコレ?)」
シンジが火を付けるのを真似て、蝋燭の火ににぶら下げた穂先を合わせる。
アスカ「ふーん、地味ねぇ、これ」
シンジ「あはは、まあねぇ」
アスカ「こーゆーの、日本で言う『ワサビ』ってやつなのかしら」
シンジ「(わさび??……あ、『侘び寂』のことかな?)うん。まあそうかな。アスカは、やっぱりこういう地味なのは嫌い?」
アスカ「いや、コレはコレで綺麗だと…あ!」
いちいちアクションが大きいせいか、アスカの線香花火の穂先はあっさり落ちてしまう。
アスカは新しいのを出して火をつけた。
アスカが2本目の穂先を落とす頃、ようやくシンジの1本目が落ちる。
アスカ「アンタって、こういう時までみみっちいのね」
シンジ「失礼だなぁ。これはこうやって、穂先を落とさないようにしてだんだん火花が小さくなるのを楽しむ花火なんだよ?」
アスカ「…………そ、そうなの? んじゃ、アタシって、ひょっとして下手だったの?」
シンジ「下手って言うか…………まあ、ちょっと楽しみ方が違う、かな?」
アスカ「むぅ」
- 253 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/16 13:54 ID:???
- アスカは少し唸って、
アスカ「よし、勝負よシンジ! どっちが長持ちするか!?」
そう言って、3本目に火をつける。今度は慎重に。穂先を落とさないように。
シンジ「まあ、いいけど(なんで素直に楽しめないのかなぁ)」
苦笑しつつ、シンジもそれに倣う。
勝負好き、というより勝つのが好きなアスカ。が、
アスカ「(アタシから挑んだんだし、ここは意地でもシンジより先に穂先を落とす訳には行かないわね)」
…………と言う風に緊張すればする程、手先に余計な力が加わるもので。
アスカ「あ、あ〜!」
シンジ「…………落ちちゃったね」
アスカ「むきー! くやしー! また負けたぁ!」
立て続けに5連敗(しかもシンジはその間3本しか火をつけてない)
アスカ「むぅー、ムカツクわね! 何で落ちるのよ!」
シンジ「まあ、まだいっぱいあるしさ。練習しなよ」
そう言われて、アスカはふと、顔を上げた。目尻が少し、紅い。
アスカ「馬鹿シンジ、と、特別に、レクチャーさせてあげる」
- 254 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/16 14:12 ID:???
- アスカ「ちょっと! ちゃんと抑えててよ!?」
レクチャーとは、しゃがんだアスカの後ろに中腰のシンジが立って、まあ要するに二人羽織り状態でシンジがアスカの手の震えを抑えるというもの。
…………まあ当然の事ながら、あっちこっちが密着したり擦れ合ったりするその体勢で、手の震えなんか抑えられる訳も無くて。
アスカ「ああ! また落ちた! ちょっとシンジ! 真面目にやってる?」
シンジ「や、やってるよ!」
そんな感じで、はしゃぎながら10本ほど線香花火を灰にして、ようやく上手く行くようになってきて。
アスカ「…………綺麗ね、コレ。気に入ったわ」
シンジ「うん、綺麗だね」
アスカ「(アスカも綺麗だよ、くらい言いなさいよニブチン!)」
シンジ「…………ねえ、アスカって、香水付けてる?」
アスカ「な、なに言って?! ってか、ドサクサ紛れに匂いとか嗅がないでよ?!」
シンジ「わ! 穂先が落ちる!」
アスカ「あわわっと…………もう。変態馬鹿シンジ! 何? 香水? 持ってないわよ、そんなの。…………シャンプーの匂いでしょ」
シンジ「そっか」
アスカ「何よ? 興奮したの? すけべ」
シンジ「そういうんじゃないよ。まあ、甘くて良い匂いだとは思うけど」
アスカ「…………つまんない。シンジ最近、アタシがからかっても動じないし」
シンジ「あはは。そうだね。さすがに慣れたよ。アスカと逢って、そろそろ1年だし」
アスカ「ちっ! 見てなさいよ? その内ギャフンと言わせてやるから」
シンジ「うん。期待してる」
アスカ「あ〜! むかつくー! 何その態度! スカしちゃって!」
シンジ「あはは………………ねぇアスカ、明日買い物行かない? …………香水とか、買いに」
アスカ「!…………ばか。かっこつけ過ぎよ、アンタ。ばーか」
アスカ「……………………明日、晴れよね?」
- 300 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/06/23 09:57 ID:???
- このところ待機任務ばかりで、家で散々暇を持て余した挙句の非番・休日。
ストレスの限界に達したアスカに連れ出されて、2人で遊びに行く事に。が、家を出て暫らくしてアスカが携帯を家に忘れた事に気付く。
「駅前の噴水のトコで待ってて! すぐ取ってくるから!」と言い残して、アスカは家に。シンジは駅前に。
駅前の噴水の周りは待ち合わせスポットで、そこら中カップルだらけ。
シンジが所在なさげに待っていると、アスカが手を振りながら駆けて来た。さっきまで散々そういう光景を目にしてきたシンジは、少し嬉しそうにはにかむ。
アスカ「? なにニヤニヤしてんのよ?」
シンジ「え? いや、あの……なんでも……ないよ」
アスカ「何よッ!? 言いなさいよ! 隠すとタメになんないわよ?」
シンジ「えっと…………アスカ、怒らない?」
アスカ「言わなきゃ怒るわ。問答無用で」
シンジ「じゃ、じゃあ言うね? あのさ、周り、カップルだらけじゃない?」
アスカ「ん? あー、そーね。まあ、週末だし、ココは待ち合わせ場所にぴったりだしね。それで?」
シンジ「だ、だからさ、さっきアスカが手を振りながら走って来た時、僕らも、そんな風に…………デートの待ち合わせみたいだなって、思って」
アスカ「まーね。実際デートでしょこれ」
シンジ「え?! で、でーと……なの……?」
アスカ「あのさ、Dateってのは、別に『愛し合う男女の甘い逢引き』ってだけの意味じゃないのよ?
勿論日付って意味もあるし、フツーに『約束して合う』って意味も含まれるんだから。そもそも、日本人はデートって言葉に過敏過ぎるのよ」
シンジ「あ、そ、そっか、そうだよね…………」
アスカ「だから、別に「アスカとデートしたんだ」って言い触らしても良いのよ? 言葉の使い方は間違ってないんだから」
シンジ「え? あ、あぁ……うん、そうなんだよね」
アスカ「…………言い触らして良いんだからね?」
シンジ「うん」
アスカ「…………言い触らしなさい」
シンジ「判ったってば。…………あれ?」
- 326 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/06/30 17:39 ID:???
- i 从(`')ノ〉
ノ .リ゚ ヮ゚ノi<今日はみんなで外食に行きましょうか?
〃〃∩@⌒´`@ ヤダ
⊂⌒( `Д´) ヤダ
`ヽ_つ ⊂ノ ヤダ
ジタバタ
@⌒´@
〃〃(`Д´ ∩ < シンジの手作りじゃなきゃヤダヤダヤダ
⊂ (
ヽ∩ つ ジタバタ
〃〃∩@⌒´`@、 _, ,_
⊂⌒( つД´) < せめてシンジと二人で外食じゃなきゃヤダー
`ヽ_ ノ ⊂ノ
ジタバタ
∩@⌒´`@
⊂⌒( _, ,_) < 手作りのデザートもホスィ…
`ヽ_つ ⊂ノ
ヒック...ヒック..
@⌒´`@
⊂⌒( _, ,_)
`ヽ_つ ⊂ノ zzz…
- 327 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/06/30 17:43 ID:???
- オマケ
'⌒⌒丶
′w从w
Gl^∀^ノ )) 風邪引くよ、アスカ・・・
/つ( ̄`ヽO_ノ⌒ヽ
ノ ) \ ))
(__丿\ヽ :: :::: )
丿 @⌒´`@ ,:' ))
(( (___,,.;:- ( _, ,_)‐'
`ヽ_つ ⊂ノ zzz・・・
- 342 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/07/01 03:05 ID:???
- >>341さん案に便乗。
泣き疲れてリビングで眠ってしまったアスカが、目を覚ましたのは22時。
「…………たおるけっと?」←寝惚け眼
体を覆っていたそれをめくりながら上体を起こす。リビングは暗いが、ダイニングキッチンからは明かりが漏れている。
四つん這いでモソモソ這って行くと、ダイニングテーブルで本を読んでいたシンジが振り向く。
「あ、起きた? じゃあご飯にしようか? 直ぐ温めるから。 ハヤシライスとハーブチキンとシーザーサラダなんだけど、いい?」
「………うん。…ミサトは?」
「アスカが寝ちゃったから、加持さんと呑みに行くってさ」
アスカ、ダイニングテーブルに辿り着く。と、食事の用意は2人分。
「…え?…シンジ、食べてないの? ………待っててくれたの? アタシが起きるまで?」
「………え、えーと…うん、まあ。あのほら! デザートもちゃんと作ったよ? 紅茶シフォン。アスカ好きだよね?…………アスカ?」
アスカ、黙って俯いて目元をぐしぐしこすっている。
「……お腹空いてるの……早くしなさいばかしんじ」
「うん。もう少し待ってね」
「…………ばかしんじ」
「うん。えーと、怒ってるの? そんなにお腹空いてる?」
「ばか。鈍感。デリカシー皆無。信じらんない」
「あー、うん。ごめん」
「反省してるなら、週末空けときなさい。…………罰として、映画奢ってやる。覚悟しろバカ」
「??(……罰?) えーと、了解しました。ありがとう」
不思議そうな顔でハヤシライスの鍋の様子を見に戻るシンジ。その背中を、頬を染めて見つめるアスカ。
- 560 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/07/13 02:47 ID:???
- 「たいくつねぇ〜」
だらけきったその声が響いて、シンジは内心頭を抱えた。(また始まったか……)と。
務めて無視して、目の前の学校の課題に集中する。ちなみに数学の課題なので、アスカは既に終わっていた。
「シンジー、聞いてる〜? あたし、退屈なんだけど〜?」
居間の座卓の向こう側でうつ伏せになって足をぷらぷらさせながら、アスカが不満そうな声を上げている。
そんな事言われても、アスカが退屈なのはシンジの責任ではない。
もっともアスカなら、折角の休日なのに雨が降って外出できないのも、それに伴う湿度と不快感も、
家にあるゲームがすべてやり飽きてて一人じゃ遊べ無い事も含めて、みんなシンジの責任にしそうではあるのだが。
「ごめん。もう少しで終わるから。そうしたらトランプでもやろう」
テキストから目も上げずそう言ったシンジの態度に、露骨に不満さが募るアスカの声。
「な〜によ。宿題なら手伝ってあげるって言ってるじゃん!」
「ダメだよ。宿題は自分でやるから意味があるんだよ?」
「シンジもアタシの宿題手伝ったでしょ?」
「テキストの漢字に振り仮名ふっただけだよ。問題解いたのはアスカ」
天才肌のアスカは他人に教えるのがあまり上手くないので、『手伝う=答えを教える』になってしまうのは確かだが、
自分の親切を無碍にされてるようで、どうにも面白くない。
「アンタ、そんな事言ってアタシと遊ぶのが嫌なんでしょ? そのつまんないテキストと一緒に数字遊びしてるのが楽しいんでしょ?
やな奴! 根暗! 根性悪! ケチ! アタシと遊べー!」
「…………アスカ。これ、宿題だよ? こんなの楽しい訳無いじゃないか。僕だって遊びたいよ」
「じゃあ遊べばいいじゃん!」
「それはダメ。ミサトさんにも釘刺されたじゃないか。「ずっとエヴァパイロットやる訳じゃないんだから、将来の為にも成績落としちゃダメ」って」
- 561 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/07/13 03:03 ID:???
- むー、と唸る声が聞こえたかと思うと、“パタパタズルズル”と妙な音が座卓の周りを反時計回りに周回してくる。
アスカ、猛スピードの匍匐前進にてシンジと接敵。上体を起こして攻撃姿勢に入る。
両手を握って頭上に掲げると、拗ねたような表情で力ない猫パンチを落とし始めた。
「あ・ん・た・わ・ッ! どーしてそんなに頭がお堅いのよぅ!」
てしてしてしてし
「あ痛たたたた…………ちょ、ちょっとアスカ。邪魔しないでってば」
「まっ?! 何よ! アタシが邪魔だって言うの?! むーかーつーくー!」
てしてしてしてしてしてしてしてしてしてしてしてし
「いたたたたたた!」
「こうしてやるこうしてやるこうしてやるッ!」
「更に! こうしてやる! はむ」
アスカ、シンジに抱きついて耳たぶを唇で噛む。
はむはむはむはむはむはむはむはむ
「うひゃ! く、くすぐったい! あ、アスカ勘弁して! ひっ! あははははは!」
結局、シンジがトラウマになるくらい耳を『はむ』られてる所にミサトが帰って来たのは、その15分後だった。
シンジが涙ながらに(笑い過ぎて涙が出た)訴えた結果としてアスカはメチャクチャ怒られた。で、ちょっとしょげた。
でもその日から、アスカはよく『はむはむ』したり『てしてし』したりしている。
- 649 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/07/22 03:25 ID:???
- 『アスカの日記』
今日は夕食がウナジューだった(漢字は分からないのでパス)
なんで? ってシンジに聞いたら、今日は日本ではドヨウという日で、
昔からの風習でこの日はウナギを食べるとのこと。
由来は諸説あるけど、まあクリスマスにケーキを食べるみたいな物だ、だって。
まあ、美味しかったから良いんだけど。で、食べてたらミサトが帰ってきて、ミサトの奴、
「やっぱ暑いし、セイの付く物食べないとね〜」とか言ってた。
セイってなんだろ? と思ったんだけど、ミサトに聞いてからかわれるのも嫌だし、シンジに聞くのもシャクなので、
面倒だけど辞書で調べてみた。
で、今ちょっと困ってる。
セイは『精』と書くらしい。この漢字は…………えっと、たしかそういう意味、よね?
この後ろに『力』と書くと、…………そういう意味になるのよね?
ミサトも食べた後、加持さん誘ってデートにいっちゃったし。あんな時間から。
つまりシンジがアタシにウナギを食べさせたのは…………そういう事よね?
ど、どうしよう?! そ、そりゃ別に、アタシはその、同居以来それなりの覚悟はしてるつもりだったけど!
でもこんな、突然…………日本では…………そ、そういう日なのかしら?
…………もう一回、シャワー浴びて来よう。
下着もおろしたてのにして、お小遣い溜めてこないだ買ったばっかりの香水も試してみよう。
…………明日の日記は、…………いっぱい書く事がありそうだ。
- 650 名前: ◆YjsWqh8B4w 投稿日:04/07/22 03:38 ID:???
- んで、翌日の日記
…………恥をかいてしまった。アタシはバカだ。
昨日の晩、一晩一睡もせずにベットで待ってたのにシンジが来なかったので、
ブチ切れたアタシは朝イチでベットで健やかに寝てやがったシンジの頭をどやし付けに行った。
「…………くぉのバカ! 何で来ないのよ!」って。
んで、あんまり悔しくて泣いてしまった。シンジがアタシの踵落しで出来たコブを擦りながら
「どうしたの?」って聞いてきやがったので、「アンタのせいよ」と事情を説明した。
そしたら…………シンジはものすごーく深い溜息をついて。
「『精』って言うのは、夏を乗り切るスタミナとか、そういう意味もあるんだよ?」だって。
しかも、そう説明するシンジの顔がやけに赤いので、そこでようやくアタシは、下着姿のままでシンジの部屋に来た事に気付いた。
二重に恥をかいてしまった。もうここには居られないので、どこかに旅に出ようと思う。
今思いついたんだけど、一人旅ではつまんないので、シンジも連れてゆく事にするのはどうだろう?
ちょっと誘ってみようと思う。なんかホンマツテントーな気がするけど、シンジと旅行なんて初めてだし、気にしない。