【LAS人】こんなアスカは大好きだ!2【専用】
768氏
768 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/07/27 01:21 ID:???
2−Aの教室。授業が終わったばかりで、そこかしこに生徒が残る中、
それは突然やってきた。どうにも煮え切らない二人に、友人たちが業を煮やしたか、
それとも偶然だったのか・・・・

「ねえ、アスカは碇君のことを、どう思ってるの?」
「なあ碇、碇は惣流のこと、どう思ってるんだ?」

「「えっ?」」
教室の前後で、質問された二人が同時に声をあげる。
これまでも、似たような事を聞かれた事はあったが、それは限られた友人達と居た時であったし、
未だクラスメイトの残る教室という、いわば公衆の面前で聞かれた事は無かった。
しかも、そこには肝心な相手がいるというのに。

すぐには答えられない二人の、知らずとめぐらした視線が、
教室の、ちょうど真ん中で一瞬交差する。
そして、友人に向かい合った二人は同時に口を開いた。

次へ。

769 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/07/27 01:41 ID:???
帰りかけの生徒達が、一斉に足を止め、息を殺し、耳を精一杯伸ばした数秒後、
二人が同時に発したセリフは、良く似たものだった。
どちらかと言えば、期待はずれだっただろうか。しかし、内心喜んだ者もいただろう。
ただ、このような場所と状況で、中学生が言える台詞はどうしても照れ隠しが入るものだ。

「シンジ?そうね、出来の悪い弟みたいなものかしら」
「アスカ?そうだね、生意気な妹みたいなものだよ」

教室中に張り詰めていた緊張の糸が、あちこちで切れた。
代わりに、安堵と不満の空気が少しづつと、
最後に言葉を発した二人の間で、緊張が素晴らしい勢いで膨張していた。

「なによ?」
「なんだよ?」

「あんたが、兄?冗談はやめてよね。あたしの方が全然オトナじゃない!」
「なに言ってんだよ。僕の方が半年は年上じゃないか。それに、家で家事をして面倒見てるのは僕じゃないか!」
友人の輪から離れて、教室の中心へと、じわじわと歩を進める。

770 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/07/27 01:59 ID:???
「いや、あたしの方が!」「僕だろ!」と、お風呂に入る順番からエヴァの戦技、
背の高さにどちらが保護者に信用されているかまで、なんでもかんでも持ち出して優位を決めようとする二人。

その横を、机の影に隠れて移動する影が一つ。
その影は、面白そうに喧嘩を眺めてるジャージの少年の側から、お下げの少女の下に移動すると、
「委員長、これで良かったのか?」と尋ねた。

お下げの少女は、いかにも困ったわねと、可愛く小首を傾げてから、
「そうねえ。なにかしら進展があるかしらと思ったけど、二人ともこんなに子供だったなんて・・・」
と答えて、続けた。
「これだけ面と向かって聞けば、はっきり言わないまでも、必死で否定しあうとか、
 ちょっと赤くなって黙り込むとか、何かそれらしい事を起こすと思ったのに、まさか喧嘩をはじめちゃうとはねえ」

「じゃあ、わたしはアスカをなだめるから、相田君は碇君をお願い・・・・」
主謀者とおぼしき二人が、行動を動かしかけたその時、
喧嘩の風向きが、いや喧嘩の台詞の中身が変わってきた。

772 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/07/27 02:35 ID:???
少し前までは、いかに自分がと優位を競っていたのが、だんだんと相手のダメなとこを上げ始めていた。
曰く「根暗だ!」とか、「わがままだ!」とかである。これにより二人はいっそう頭に血が上り、
喧嘩している場所をすっかり、忘れたかのようだった。

最初にその口火を切ったのは、アスカであった。
「あたしがやってあげないと、ろくに耳カキも出来ないくせに!」
応戦する少年。
「未だに魚が苦手で、僕がほぐしてあげてるじゃないか
しかも、そのまま『あ〜ん』口あけて待ってるくせに!」

「うっ・・・、あんたこそ、『お休みのキスをしてくれないと寝れないよ』とか言うくせに!」
さらに応戦する少年。
「なっ!?最初に言い出したのはアスカだろ!
 そっちこそ、台風が来るたびに『怖くて一人じゃ寝れない』って、こっちにくるじゃないか!」

再び帰り支度をしていた、クラスメイトの動きが止まる。
明らかに変わった空気に、二人の喧嘩も止まる。

「なんや、センセら、家ではそんなことしとったんか」
ジャージの、のん気な一言で再び動き出す・・・

「「いや、それは、この、つまり・・・」」
なにやら手をパタつかせて、言い訳しようとする二人を、それぞれ男子と女子の集団が連れて行く。

恐らく少女は、軍の査問官より厳しい女子達の質問攻めに。
少年の方には、恵まれた者だけが味わう、拷問に近い尋問が待っている。