【LAS人】こんなアスカは大好きだ!2【専用】
866氏
- 866 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/08/02 01:03 ID:???
- 学校の昼休憩。教室のあちこちで、お弁当包みがカラフルな花を咲かす中、
洞木ヒカリは、隣のお弁当をちらりと見てから、幸せそうにそれを食べている少女に声をかけた。
「ねえアスカ、今日も碇君のお手製?」
アスカは、もぐもぐと口の入れていた卵焼きを、しっかりと味わって飲み込んでから
「そうよ?」と短く答えた。その蒼い瞳は『そんな当然の事、今更なによ?』とでも言いたそうだ。
少し言い辛そうに、左右に少しお下げを揺らしておいてから、ヒカリは続ける。
「アスカってさ、お料理できないの?」
それに対する答えは、これまた短いものだった。
「出来るわよ」
「それなら・・・」と、ヒカリが続けようとした時、彼女らの後ろから声が上がった。
- 867 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/08/02 01:12 ID:???
- 「ええー?アスカ料理できたの!?」
このクラスで、アスカをファーストネームで呼ぶ男子は一人しかいない。
アスカは、少年の方に軽く向き直り、ちょっと自慢げに言った。
「向こうにいた頃は、半分は自分で作ってたのよ。出来ない訳ないじゃない」
しかし、その少年、碇シンジはおさまらない。
「それなら、少しは料理当番を代わってくれてもいいじゃないか!」
ちょっとしまったと言う顔をして、アスカは返した。
「同居した最初から、あんたが作ってたじゃない。それでてっきり、日本じゃ男性がご飯を作ると思ったのよ!」
かなり苦しい言い訳である。当然、シンジは引っ込まない。
「そんなわけないだろ。これからはアスカにも手伝ってもらうよ!」
これは形勢不利である。クラスメイトの注目の中で、実力をもってシンジの口を塞ぐのは、
さすがのアスカといえどためらわれた。よって、少し方向転換して言い返す。
「ダメよ!ほら、あたしはこっちに来て日本食に慣れちゃったもの。
けどさ、炊飯器の使い方も分からないし、それに醤油や味噌の使い方もわかんないし・・・
そう!シンジの作ったご飯とお味噌汁がずっと食べたいなーとか・・」
- 868 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:04/08/02 01:25 ID:???
- 言った本人は、あまり出来のいい言い訳と思ってなかったようだが、効果は絶大だった。
急に勢いを失って、少し頬を染めて椅子に座り込んでしまったシンジと、
周りの「うおーー!」とか「きゃーー!」とかの歓声である。
さらには、シンジはトウジやケンスケに「お幸せにな」「く〜羨ましいぞ、碇!」などと声をかけられている。
自分の生み出したはずの騒乱の原因が分からないでいるアスカに、ヒカリがそっと耳打ちする。
「あのね、アスカ。日本で『お味噌汁を作って下さい』と言うのは・・・・」
二人揃って冷やかされるだけ冷やかせれた帰り道、
自分がどれだけ日本独特の言い回しに疎いかを力説したアスカだったが、
当初の目的は果たせたようで、この後ずっとシンジの作るお味噌汁を飲む事となった。