【LAS人】こんなアスカは大好きだ!3【専用】
8氏
8 名前:新スレ乙>>1 1/3くらい 投稿日:04/08/08 16:44 ID:???
「アスカー、ごはん出来たよー・・・」
エプロンで手を拭きながら、同居人を呼んでいた少年の、
スリッパのパタパタという音がぴたりと止まる。

長い西日の陽だまりに両足を突っ込んで、夕焼けに負けじと鮮やかな髪を
大きく扇型に広げて眠る少女の姿が、少年の視線の先にあった。
音を立てずにそっとスリッパを脱いで、少女の脇にひざを付き、
数瞬だけ、寝顔を見つめてからそっと声をかけた。

「アスカ、起きて。ね、ごはんできたよ」
うーんとうなってから、少女は右目だけをわずかに開けて、
至福のひと時を邪魔した者の顔を確認してすぐ目を閉じた。

9 名前:2つめ 糖度は高め、かな 投稿日:04/08/08 16:52 ID:???
少年がまた、声をかけようとした時、少女が両の腕をすーっと上げた。
ちょうど、前ならえをして仰向けに寝転んだ形だ。
「えー、自分で起きてよ」
と言ってみたが、まったく反応の無い、未だ目を閉じたままの少女の顔を見て

「じゃあ、少し手伝うけど、自分で起きてね」
と少女に手を伸ばした。
伸ばした左手は、上げたままの手を通り過ぎ、彼女の反対側について、
右手は、部屋を染める茜色と同化した少女の頭にそっと添えられた。

10 名前:3つめ つづく 投稿日:04/08/08 17:04 ID:???
異変を感じて、少女が薄目を開けた時には、
「ちゅ・・・」
少年の顔が降りてきて、唇を奪うのと同時だった。

「う・・・・うん・・・」
突然の事に、わずかに抵抗してみたが、上げた両手はすぐに少年の肩に回された。
さらに、少年のノックに応じてわずかに口を開いた瞬間、すっと少年が離れた。

寝ていた時からか、キスされた時からか、夢見心地のまま少年の唇を追う。
うながすように、少年の右手が彼女の頭を持ち上げ、両腕を肩にかけたまま立ち上がろうとする。
追いかける。また逃げる。追いかける。またまた逃げた。追いかける。

「さ、起きたね、アスカ。ご飯食べようか?」
いつの間にやら、二人ともすっかり直立していた。

11 名前:おわりです 投稿日:04/08/08 17:11 ID:???
はっとして、正面を見ると、『してやったり』というような少年の笑顔。
しかも、両腕を相手に回したまま、キスをねだろうとしていたなど、
なんとなく悔しいやら、恥ずかしいやらで、『この、ばか・・・・』と叫ぼうとした。

「ご飯食べよう、冷めちゃうよ」
見慣れた笑顔に、毒気の抜かれるセリフ。
「うん・・・」
思わず、らしくない素直な返事をしてしまう。

なんとなくばつが悪いのか、自分が寝ていた陽だまりを振り返る。
前を見る。そして、もう一度少年の顔を見てから、そっと右手を差し出す。
少年からは、夕日の逆行で少女の表情は見えなかった。
もし見えても部屋を染める色が保護色になって、分からなかったかもしれないけれど。

少女の右手をそっと握って、二人はそのままダイニングへ。
誰もいないリビングを見ているのは、少しだけ顔をだしたお日様だけ。
その顔がすっぽりと隠れる頃には、しばらく静かだったダイニングから、いつものように笑い声が聞こえてきた。