【LAS人】こんなアスカは大好きだ!4【専用】
76氏
76 名前:1 投稿日:04/09/18 00:32:15 ID:???
ミサトの帰宅が深夜、あるいはそもそも帰宅のないことも珍しくない。
よってシンジと二人きりの夜には事欠かない。
別に、だからって何もないんだけどね。そのはずだったんだけどね。

★★★

「アスカ、キスしようか」
その夜は、シンジがとんでもない事を言ってきた。

「なっ・・・え?!」なんて。不覚にも思い切りうろたえてしまう。
「え、じゃなくてさ。キス」
「とっ、突然なにをっ。なに言い出すのよ!?」
「この間だって突然だったよ」
「それは、そうだけど・・・」
「あの時はアスカのワガママにつきあったんだからさ、こんどは僕につきあってよ」

動じない、押しの強いシンジ。明らかに様子がおかしい。
なのに私は焦りに支配されて、あげくに「つきあって」というフレーズから連想ゲームして一層狼狽を深めてしまうなんてバカな有様で、とにかく異状に気づくどころじゃなかった。
「でも、だって、なんで?」
もう言葉が文章になってない。
なのにシンジは平然と「退屈だから」なんて、やっぱり前の私と同じ理由を持ち出してくる。
バカシンジのくせにっ!!
私もあと少しは冷静でいられたら、威勢良く言い返すことが出来たと思う。

「暇つぶしにあんたなんかとキスしたおかげで、アタシがうがいまでしたの忘れたの?」
「あんたがアタシの我侭を聞くのが道理であって、その逆はないの」
「調子に乗るな!!」etc、etc・・・

それなのに今の私ときたら、全身を赤く点灯させて、うろうろと、視線さえきちんと定まらないままなのだ。
・・・断っておくが、拒む気がないとか反論しないとか、そういった事では決して無い。断じてない。
そんな私の傍に、ゆっくりとシンジが近づいてきて―――
ちょっと困ったような、勝ち誇ったような、曖昧な笑顔に表情を変えた。そして。

77 名前:2 投稿日:04/09/18 00:36:07 ID:???

「ほら、急に言われたらアスカだって焦るじゃないか」

瞬間、全身に理解が訪れた。さあっと熱が引いていく。
つまりこいつは・・・。
以前に自分がビビったのは、仕方がないのだと。あの時のお返しだと。うがいなんかするなよなーと。
今のは、その為に・・・。
―――ブチ切れた。

手加減抜きで、シンジを思い切り突き飛ばす。壁に叩きつけられて、声をあげながら尻餅をつくシンジ。
その上にのしかかって、至近距離から見下ろすように、告げる。
「やってやろうじゃないの」
「えーと・・・。もしもし。ゴメンナサイ、アスカ。・・・アスカ?アスカさん??」
もう遅いわよ、シンジ。形勢は逆転したの。
私は目を細めて微笑んだ。

シンジの肩を壁に押し付けて自由を奪い、ことさらゆっくりと顔を近づける。
魅入られたようにこちらを見つめて動けないシンジの唇に、私のそれを合わせて―――奪ってやった。
肩から手を外しても、もう抵抗はない。
首から背中に両腕を回して、覆い被さるように全身を擦り付けていく。

そのまま10分ほど経っただろうか?
「退屈しのぎ」のキスを終え、絡みついていた身体を離した。
シンジは人形みたいに脱力している。
瞳に薄い陶酔の膜。汗で張りついた前髪。上気して蕩けた表情に、軽く息が乱れていて、なんだかすごく色っぽい。
でも、これでどっちが獲物か、しっかり理解できたでしょ?
振り回されるのがあんたの役目よ。

78 名前:3 投稿日:04/09/18 00:36:46 ID:???
「アス、カ・・・」
シンジはまだ夢うつつ。うわ言みたいに呟く声が、ちょっと掠れてる。
さて、なあに?バカシンジ。
「・・・・・・好き、だよ」
起死回生の一撃。
シンジの眼に映る私が、不意を食らって思いっ切りうろたえている。

再び形勢は逆転してしまった。

<おしまい>