【LAS人】こんなアスカは大好きだ!7【専用】
本LAS小ネタのはずが
370 名前:本LAS小ネタのはずが@ 投稿日:2005/05/23(月) 16:02:38 ID:???
「5月23日かぁ。今日は、『恋文の日』なのよね。というわけで・・・」
いつものように、アスカは日本の(偏った)豆知識を披露した。

「毎日たーくさんのラブレターを送られてるこのアスカ様が、一通も貰ったことのないバカシンジを哀れんで、特別に。と・く・べ・つ・に、用意してあげたわよ!」
「何を?」
「あんたバカァ? 流れからして恋文に決まってるでしょ」
「ぇえっ?!」

そうして差し出された白い便箋。from.ASUKA。
からかい、遊びと充分に判ってはいても、緊張はする。
シンジは、ドキドキしながら手紙を広げてみた。


    You Are Mine!!


「・・・・・・・・・・・・・・・なにこれ?」

これって恋文っていうより、主権を宣言されただけなんじゃ?
ただ一言だけ書かれた手紙に、父の背中を思い出したりもして、軽く欝なシンジ。

でも、実は精一杯のアピールだったアスカ。

371 名前:本LAS小ネタのはずがA 投稿日:2005/05/23(月) 16:03:52 ID:???
「アタシから貰って不満だなんて、バカシンジのくせに贅沢よっ!」

シンジの反応が予想以上に芳しくないので、面白くないアスカ。
一気にまくし立てる。

「それに『お前は俺のものだ!』なんちゃってさ、強引だけど情熱的な告白って感じじゃない?! それを、主権の宣言? 裏にある気持ちを読みなさいよ。なんでそんなに捻くれてるわけ? 捻てると言えばそもそもあんたって―――」
延々と続く。
だが、シンジも慣れたもの。動じない。
そして、途切れた間を狙って、ぽつりと素朴な疑問を返した。

「ん、じゃあさ、つまりアスカは、僕に強引で情熱的な告白をしたことになるの?」


―――沈黙


「んな、な・・・ななな、ななななになナ、ナニ言ってんのよ!!!!?」

うろたえまくるアスカ。
そこまで嫌がらなくてもいいじゃないか、と思うシンジ。

372 名前:本LAS小ネタのはずがB 投稿日:2005/05/23(月) 16:11:07 ID:???
「まぁでも、よく考えたらそんな告白、アタシなら受けないわね」
「自分で書いたくせに」
「うっさい。―――例えどんなに好きでも『俺のモノ』扱いなんて耐えられないわ」
「どんなに好きでもって、加持さんは?」
「加持さんならOKに決まってるじゃない」
「なんだよ、それ」
「ジョークよ。そうねぇ、例え加持さんでもNGかな」
「へぇ・・・」
「人によっては喜ぶんだろうけどさ。感性の問題ね。て、そんなに考えなくても、シンジにはどうせ関係ないじゃない」
「なんで?」
「あんた、誰かに告白する勇気なんてないでしょ。ましてやそんな激しい台詞言えるわけないし。大体、どんな告白したって断られるに決まってるんだから」

散々にからかわれ笑われて、さすがにムっとするシンジ。
さらに、もし加持さんに素敵な告白をされたら・・・といった妄想をたっぷり聞かされ、イライラが募る。

最初は、冗談にしても自分にサービスしてくれるとかそーいう話だったのに。
僕だって、アスカの擬似求愛に付き合うことくらいは、できる。

「アスカ、さっきの手紙の返事だけど。」ややキツイ声で、シンジは言った。
「へ?」
「”いいよ"。僕は全部、アスカのものになるよ。―――アスカのこと、好きだから」

373 名前:本LAS小ネタのはずがC 投稿日:2005/05/23(月) 16:14:50 ID:???
急な言葉に呆然となるアスカ。無視して、シンジはその腕をつかんだ。
強く引き寄せる。
さすがに、直視しては言えそうにない。耳元に唇を近づけた。
アスカの匂いを吸った途端、苛立ちは溶けて消えうせていた。

「だから、アスカ。アスカは、僕のものになって」

口にして、初めてシンジはそれが自分の本心だと知った。
既に遊びの告白ではない。
動悸が激しすぎて、頭がぐらつく。殴られるのを覚悟して、シンジは目を閉じた。
ついさっき、アスカにNGと言われたやり方をしているのだから。

これで嫌われそうになったら、さっきの冗談の続きにしてしまおう。
・・・なんだ、僕ってやっぱり意気地なしだな。

悲しい想像に囚われた中、シンジは、肩の上で誰かが小さく「うん」と呟くのを聞いた気がした。
少しかすれた、夢にまどろむような声で。

(おしまい 長すぎたゴメンorz)