【LAS】こんなアスカは大好きだ!【満載】
『おひるね』某スレの606氏
714 名前:某スレの606 投稿日:04/04/10 02:36 ID:???
LAS!LAS!LAS!
おひるね

日曜日の昼下がり。
昼食の後片付けを済ませたシンジ。
ミニコンポにCDを放り込むと床に敷いたマットに寝転がる。
手足を伸ばして背伸びをひとつ。
誰もいないこの空間に軽やかなピアノの音が広がっていく。
ミサトは休日出勤でネルフに出頭していたし、アスカはヒカリと新湯本に出かけていった。
ペンペンは…なぜか冷蔵庫から出てこない。
ここにはシンジしかいないのだ。
たまにはこんな一日がなくっちゃあ…。
何もかもが非現実的な日常ではあったが、こんなひと時を楽しむ余裕がシンジにはあった。
容赦無く照りつける日差しもレースのカーテンとクーラーの御蔭で心地よい。
「エリーゼのために」がシンジをまどろみの世界にいざなう。
平穏な午後の昼寝。

「どーして日本ってこんなに湿度が高いのかしら!汗でベットベト」
用事を済ませたアスカが帰ってきたのだ。
「ねーシンジぃ。麦茶ちょうだーい!あッついのなんの…」
クラシック音楽の流れるリビングに足を踏み入れたアスカの声量が落ちる。
静かに寝息を立てるシンジを見つけたのだ。
ヨレたTシャツにバミューダ姿で大の字になっているシンジ。
「…気持ちよさそうじゃないの」
スピーカーから流れる「トルコ行進曲」がアスカの悪戯心を刺激する。
そろり、と足音を忍ばせてアスカが近付いて行く。
カーディガンをテーブルの上に置いたアスカがそっとシンジの横に座り込む。
「お気楽なカオしちゃって」
ゆっくりと上下するシンジの胸郭。かすかに聞こえる寝息。
じぃ〜っと見入るアスカ。

715 名前:某スレの606 投稿日:04/04/10 02:36 ID:???
「非常事態宣言発令―。チルドレンは第7ケージで待機せよぉ」
いつもの聞きなれたアナウンスを小声で真似てみるアスカ。
だがシンジはピクリともせずに寝息を立て続けている。
「使徒、急速接近、エヴァ初号機と接触」
すーっと顔を近づけるアスカ。
息がかかるくらいまで近付いても、相変わらずシンジは目を醒まさない。
「熟睡、してるわね」
しばらくシンジの寝顔を見つめていたアスカがゆっくりと立ち上がり、自分の部屋に入る。
キャミソールにジョギパンに着替えたアスカがもう一度シンジの寝顔を覗き込む。
「アンタだけシアワセそうなのって許せないのよね」
そう言うとシンジの横にそっと横たわるアスカ。
「だから、その腕ちょっと貸しなさいよ」
シンジの右腕にそっと頭を乗せる。シンジに反応は無い。
ころり、と左を向いて見る。
頬が肩の付け根に当たる。
意外なほど筋肉の付いた肩がアスカには新鮮な驚きとなった。
「ふーん、けっこう男の子なんだ」
クーラーで冷やされたシンジの肌がひんやりとして気持ちいい。
「人間アイスノンね」
アスカがくすくすと笑う。
右手を伸ばしてシンジのあごを撫でる。
14歳だというのにシンジにはヒゲが少ない。
ゆで卵の様につるつるしている。
むくり、と起き上がったアスカがシンジに顔を近付ける。
頬をひっつけてみる。
ぺた  ぷにっ  ひんやり
まだ起きない。
曲は「亜麻色の髪の乙女」に変わっている。

716 名前:某スレの606 投稿日:04/04/10 02:38 ID:???
再びシンジの腕枕でくつろぐアスカ。
シンジのTシャツに突起物が見える。
指先でそっと触れてみればそれは乳首であった。
「うくく…男も勃つのね、コレ」
そうだよ寒いと勃つんだよ痛いんだよ。
「ふふ…シンジ。アンタ今どんな夢を見てんの?そこにアタシはいるの?」
だがシンジは応えない。
「もしいないんなら、今からそこに行くから」
アスカは静かに目を閉じる。

右手に痛みを感じたシンジが目を醒ます。
ずっしりとした何かが右手を押さえつけているらしい。
首を回して見ると、アスカが眠っているのが見えた。
「…アスカ。でも出かけているはずだし…それにこんな事する訳、ないよな」
夢なのだ。シンジはそう思った。
夢ならば…もう少しだけこのままでいよう。
「月光」を聴きながら、シンジはそう願った。

「ったくせっかくのお休みだってェのに呼び出されて書類整理とは…」
いつものようにボヤキながらリビングに入ってきたミサトの動きが止まる。
クーラーの効いたリビングでシンジとアスカが抱き合う様にして眠っていたのだ。
だんだん寒くなったらしい。
「…あー若いモンはうらやましいわねェ…可愛いモンだわ」
テーブルにあるリモコンで設定温度を少し上げ、押入れからタオルケットを出す。
2人にそっとタオルケットをかけると「アラベスク」の流れるリビングを後にするミサト。
玄関先で携帯を取り出すとリョウジの番号を呼び出す。
『ねぇ加持君、夕ご飯おごってくんない?』

717 名前:某スレの606 投稿日:04/04/10 02:39 ID:???
静寂が支配するリビングに電話のベルが鳴り響く。
飛び起きようとしたシンジは右手が動かないことに気付いた。
そしてアスカにも。
「…何?…わ!もう夕方ァ?」
ゆっくりと上体を起こすアスカを身ながら受話器を取るシンジ。
『シンちゃ〜〜ん。今夜は外で食べるから夕食はいらないからねぇぇ』
『…もう酔っ払ってるんですか、ミサトさん』
『カタイコト言わないの。じゃあねぇー』
「ミサト、何だって?」
「夕ご飯はいらない、って」
「ふーん…じゃあ何か作ってよ」
「うん、でも…」
右手を見るシンジ。
シビれて上手く動かせない。
「…アスカが重いから手がシビれて料理なんか作れないよ」
「じゃあアタシが作ったげる。お味噌汁とかは出来ないけれど」
「心配だなぁ」
「それなら一緒に作ればいいのよ。アタシがシンジの右手になるから」
「う、うん。そうだね…そうしようか」

やがてキッチンからは楽しげな2人の声が聞こえてくる。
どんな名曲にも負けない、シンジとアスカの二重奏が。