【LAS人】こんなアスカは大好きだ!14【専用】
そんな葛城家 呼称
524 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/09(火) 23:53:01 ID:???

「呼称を変えてみましょうか」

休日だと言うのに、ざぁざぁ、と雨が降り頻る朝。
この様子だと一日中雨だろう。
そんな休日の朝食時に女性が突然、提案する。

「例えば?」

イチゴジャムをたっぷりと塗ったトーストを齧りながら少女が問う。
キッチンでは慌てて胡椒が入った瓶を片付ける少年。

「私のことをおねーさんとお呼び!」

ズビシッ!という効果音がお似合いなほどの指差しをする女性。
物は試し。実行してみる。

「ミサト姉ぇー、ドレッシング取ってー」

「ミサト姉さん、朝からビールは駄目ですよ?」

これは存外悪く無い、というかとても良い。
何と言うかこそばゆい様で心地良い、そんな感覚。
新たな新境地を見つけた瞬間だ。

更に捻りを少女にだけ加えさせる。

「……シンジ兄ィ、もう一枚パン焼いて……」

くっはー、と女性は悶える。

525 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/09(火) 23:54:36 ID:???
女の自分が思うのは可笑しいかもしれないが少女の姿は昨今で言う「萌え」というやつだろうか。
この破壊力は抜群だ。

そして呼ばれた少年は、少し照れ臭そうにしている。
やはり言われ慣れていないものの対応としてはこうなるだろう。

で、少女。
頬を朱に染めながら、言ったことを後悔。いや、言いたかった衝動を止めれなかったことに後悔。

そんな姿を見て、ビールを煽って「萌え!」と叫ぶ女性。
少女は思う。女性が憎い。
というわけで逆襲。

「ミサトママー! 折角の休日だしどっか連れてってよぉー!」

などど甘えた調子で言ってみる。
その言葉に逸早く反応した女性は、ブーッ!とビールを吐きながら怒声を発する。

「うぉい! コラ! アスカ! ママってなによ、ママって!?」

やはり朝から飲酒は良くない。
言葉が完全におっさんである。

「あーら、あたし達は14歳も離れてるのよ? 姉妹が通るなら子供って可能性だって有りじゃなーい!?」

「こっーんな綺麗なお姉さんをつかまえといて母親はないでしょうが! 大体、誰が好き好んでアンタの母親になるって言うのよ!」

「はぁー!? ふっざけんじゃないわよ! ただの可能性として挙げただけじゃない! あたしにだって選ぶ権利はあるわ!」

やいのやいのと喧嘩を始める少女と女性。

526 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/09(火) 23:56:11 ID:???
その様子を見ながらはぁー、と溜め息をつく少年。

最近は仲良くやっているのだが、やはりまだこういう出来事が起きてしまう。
何となくそれが『昔』の葛城家を思い出しそうで悲しくもなる。
やはりそう人は簡単に変われないのだろうか? 同じ過ちを犯すのだろうか?

それを考えても答えられる者はいない。
今はこの騒動を治めることが一番の重要課題である。
そう結論に至り、少年が止めに入ろうとした時、少女と女性は意図しているのか思わぬ台詞を言い放つ。

「ムカツクわねぇー! 言っときますけどアスカ、アンタなんかねぇ私にとっては子供でも妹でもなく、ただのムカツク、お転婆、天邪鬼、プラスして素直じゃない大切な家族なだけよ!!」

「はーん! あたしだってミサトのことなんて母親とも姉とも思ってない、なーんの頼りにもならない保護者面したガサツでだらしない大切な家族としか思ってないからね!!」

お互いにそんな言葉が行き交う。
ぽかーん、としていた少年だったが、声を殺したように、くくっ、と笑う。
本音の裏返しで攻め立てようとしてるのに、お互いぽろっと本音が出ている。

「大体アスカはねぇ、もうちょっと素直にしていれば最高に可愛いのよ! それをまぁ、勿体無い! シンちゃんも大変よねぇ〜」

「シ、シンジは関係ないでしょ! 大体ミサトだってガサツな部分さえ直せば幾らでも自慢出来る家族だって言うのに、アンタそれでも女ぁ!?」

もはや止めようも無い笑い声を必死に零さないようにする少年。
何時の間にかお互いを褒めているのだから、それも致し方ないだろう。

人間はそう簡単に変われない?
そうでもないのかもしれない。

同じ過ちを犯す?
それはこれから解ること。

528 名前:名無しが氏んでも代わりはいるもの 投稿日:2007/10/09(火) 23:57:21 ID:???
これからも仲良く三人で家族をやっていけば、それがきっと正解になるだけ。
そう確固たる結論を持って少年は、当初の予定だった喧嘩を止めるのもやめ、大切な家族のために食後のデザートを用意する。

そんな休日の朝。


で、仲良し姉妹の喧嘩、と呼ぶのも些か疑問ではあるが兎に角騒動が一段落し、三人でシャーベットを頬張る。
そんなときに少年が先ほどの話題の続きを振る。

「苗字で呼び合うのも良いかもしれませんね」

物は試し。実際に――――

「絶対にイヤ!!!!!」

試せなかった。

「アンタに『惣流さん』とか呼ばれるのは嬉しくない!! アンタはずっとアタシのことを『アスカ』って呼んでれば良いのよ!!」

先ほどとは比べ物にならないほど真っ赤な顔をした少女。それでもその言葉は力強かった。
少年もその言葉に少し頬を染めながらも力強く「うん」と答える。

「えっ? ちょっとおふたりさん、なにそのピンク色のオーラは? え、ちょ、私のATフィールドが侵食され、ちょっ、まっ! アッーーー!!」

女性、完全に沈黙。

そんな葛城家。

>>517
青葉マジウゼェwwwいいなぁ、こういうネタが思いつくのは羨ましい。